できるかな?!縄文どきどきワークショップ! ~縄文土器の野焼き&立体パズルと校長先生公認!火遊び道場~

· Workshop

日時 2016年9月2日(金)9時~12時20分

内容 縄文土器の野焼きと修復、火起こしのワークショップ

場所 仙台市立上野山小学校(仙台市太白区上野山1丁目20-1)

対象 仙台市立上野山小学校6年生

講師 佐藤祐輔/考古学者・仙台市縄文の森広場 学芸員

協力 仙台市縄文の森広場、仙台市立上野山小学校

 本ワークショップは、京都造形芸術大学「こども芸術の村」プロジェクトと仙台市縄文の森広場、仙台市立上野山小学校が協同で実施する、縄文をテーマとした全3回の連続ワークショップの最終回です。

 巨大ひも切り式火起こし器を使ってこども達全員で火起こしを行い、自分達が校庭から採掘した粘土を使用して制作した縄文土器の野焼きを行います。また、壊れた縄文土器の修復方法を学び、実際に修復を体験する「縄文土器の立体パズル」にも挑戦します。

 さらに、火に対する理解を深め、日常での防災や災害時に役立つスキルを身に着けることを目的に、校長先生自らが「火遊び道場」道場主となり、こども達と一緒に、身の回りで手に入りやすいものを利用した火起こしにも挑戦します。

 全3回のワークショップの最終回となる本ワークショップでは、第2回のワークショップで制作した縄文土器を校庭で野焼きします。そのために、まずは火起こしから。人類は、火を発見し、調理や採暖、照明、ものづくりなどに利用することで進歩してきました。こども達も縄文土器を焼成するために、巨大ひも切り式火起こし器を使って、協力して火を起こします。そして、土器は急に熱を加えると割れてしまうため、火の回りに少し距離をとって並べました。

 予熱を待つ間、火に対する理解を深め、日常での防災や災害時に役立つスキルを身に着けることを目的に、数種類の方法で火起こしに挑戦です。日々の暮らしの中で火を扱う機会が減り、マッチを擦ったことのないこどもも増えているのだとか。「1人1箱、マッチ箱を空にすること。」と校長先生。マッチの他にも、火打石・火打金の現代版であるファイアスターターや、乾電池とスチールウール、虫眼鏡など、身の回りで手に入りやすい物などを利用して、校長先生公認で思い切り火遊びを楽しみました。

 縄文土器が発掘される際、完全に原形を保ったまま見つかることはほとんどありません。また、野焼きの際に割れてしまう可能性もあります。そこで、壊れた縄文土器の修復方法を学び、実際に修復を体験しました。バラバラになった土器片をあれこれ組み合わせて修復していく様子は、さながら縄文土器の立体パズル。順番によっては、正しい場所にはめられなくなる土器片も出てくるので、洗濯ばさみで仮止めしながら慎重に作業を進めていきます。土器片がピタっとはまった瞬間、思わずこぼれる満面の笑みがとても印象的でした。

 縄文土器の予熱も終わり、野焼きもいよいよクライマックスです。こども達の土器を火の中心に集め、覆いかぶせるように薪をくべていきます。キャンプファイヤーのように燃え盛る炎の周りに、自然にこども達が集まり、輪になって座り始めました。あとはただ待つばかりです。火の勢いが衰え、薪が熾きから灰に変わった時、つい数か月前まで気にも留めなかった校庭の脇のただの土が、見事な縄文土器に生まれ変わっていました。

 一年越しで全3回にわたって開催された縄文土器ワークショップでは、既製品の粘土を使った単なる土器づくりに留まらず、こども達は、自分達の足元に眠る歴史や地質を学び、火起こしや土器の修復を体験しました。そして、縄文時代には存在していた自分達の学校の土を採掘し、その土を使って自らの手で縄文土器を作り、野焼きすることで、太古の昔のことであって現在の自分達とは何の関係もないと思っていた縄文時代を自分達の手元に手繰り寄せ、悠久のつながりの手触りを感じることができたのではないでしょうか。誰一人割れることなく焼きあがった縄文土器を見つめるこども達の目には、以前とは違った世界が見えているようでした。

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